自己との対話〜2013年を振り返る(4)

翼
「では、年末特別企画『自己との対話〜2013年を振り返る』の四回目は、PCに関する話題についてお送りしましょう。」

「あねさと家にはPCがいっぱいあるな!」

「全部で13台。さすがに多いね。今年は増減はなかったけれど、下半期にシステム変更が相次いだね。」

「いったいそれで何をするんですか? 13台もいらないでしょう。」

「まあ、実際に常用しているのはその内の4〜5台だけれどね。それでも普通の人よりははるかに多くの数を使っていることは確かだね。」

「なんでそんなに必要なんじゃ?」

「現在我が家で動いているPCは大別すると、Mac、Windows、FreeBSD、Linuxの4種類。正確に言うと、4種類のOSを利用している。」

「なんで4種類も必要なんじゃ?」

「それぞれ特徴や向き不向き、長所や短所があるから、用途に応じて使い分けているのさ。」

「その用途とは?」

「まず、Macだけど−−−−−こいつはMacOS9マシンで、いまとなっては骨董品だけど、システムとアプリとハードのバランスがちょうどいい状態になっていてね。Macintoshは伝統的にコンテンツ制作に向いているシステムなんだ。なのでこいつにコンテンツ制作を担わせているんだけど、前述の通りバランスがいいから、この古いシステムでも十二分に仕事ができるんだよ。」

「それは意外ですね。」

「まあ、最近は大容量データが多いから、遅さが目立つようになってきているけどね。まだ数年は現役でいられると思う。」

「それは凄いな!」

「まあ、予算がなくて代替できないというのもあるんだけどね。入れ替えるのに100万円は必要となれば、躊躇するだろう? 現状でも不満は殆どないから、急いで買い換える必要もないし。」

「10年以上前のコンピュータが現役フル稼働というのも驚きですけどね。」

「他のコンピュータは?」

「Windowsはほぼ雑用だね。通信から、ROM焼きから、帳簿や調べごと、Blog記事の執筆他、細々としたことはすべてWindowsで作業している。Windowsの長所はアプリケーションやハードウェアの対応が多いところだね。利用している人が多く市場性があるから、システムの不出来具合を除けばあまり困らない。」

「Windows一色じゃダメなんですか?」

「それがね、Windowsって、出来のいいOSとは言えないんだよ。セキュリテイ的にも穴が多いし、設計思想にも問題があると思っている。」

「そうなんですか……?」

「もちろん、長所もあるよ。Macに倣ったGUIは、PCに関心のない人にもある程度使える環境を容易に構築できるあたり、Macを除く他のOSにはない優れたところだと思う。ただ開発元のMicrosoftは、商品としての“売り”をアピールしたがためなのか、OS本来の役割というものを勘違いしている節がある。」

「どういうこと?」

「OSに視覚効果が必要かい?」

「いらないんですか?」

「OSは本来、ハードウェアやアプリケーションの仲立ちをするプログラムだからね。ユーザーが利用するのはアプリケーションであって、OSを利用するためにPCをつかうわけではないだろう? OSは黒子に徹しなければいけないんだ。」

「Windowsは違うのか?」

「一部のバージョンに、執拗に自己主張するものがあってね。あれのおかげでPCのリソースを喰うんだよ。利用するアプリケーションに割り当てたいのに、OSが横取りしちゃう。これではいくらメモリ積んでも足りなくなるじゃないか。」

「たしかに、私達が使いたいのはメールソフトやブラウザ、ワープロや表計算ソフトであって、Windowsではないですよね。」

「そうなんだ、正直言えば、使いたいアプリケーションが利用できればOSなんて何でもいい。環境設定が簡単に出来ればね。その点で実はMacOSというのは偉大だと思っている。Microsoftは基本的にソフトウエアの会社だから、Windowsが売れなければ困るから、目立った機能がないと売れないと思うのだろうけど、ユーザーが求めているのはそんなものではない。」

「そう言えば、WindowsXPのサポート期限が迫ってますね。」

「そして代替するためにはハードも買い替えなくてはならない。まだ動かせるのにね。新しいOSが要求するハードウェアのスペックが上がっているからなんだけど、それに見合った内容のOSなのかとても疑問だよ。いらないランタイムてんこ盛りにしているだけなんじゃないかと勘ぐってしまう。正直、XPと同条件で動く最新のOSをなぜつくらないのかと思う。その方が絶対に売れるだろう。」

まどか
「難しすぎて、訳がわからないよ!」

「話がそれてきたので、もとに戻しますね。Windowsの他には聞き慣れない言葉が二つ出てきましたが……。」

「FreeBSDとLinuxだね。どちらもPC-UNIXと言われる、UNIXライクなOSで、先のWindowsやMacOSとは毛色が違うOSだ。」

「何に使ってるの?」

「我が家では前からサーバ用にFreeBSDを利用していてね。MacとWindows間でのデータの仲介をしたり、WEBサイト構築時のテスト環境を提供したりと、地味に大事な役割を担っていたんだ。もっとも帰郷してからは、利用頻度が激減してしまったから、ほとんど動かしていないんだけれどね。」

「FreeBSDはサーバ用途に利用していることはわかりました。では、Linuxは?」

「当初は実験用として試験的に動かしていたんだけれど、今年の9月にfirefox23の問題で13号機のHDDをオシャカにしてしまい、システムを入れ替えざるを得なくなったんだ。13号機はWindowsXPで運用していたんだけど、XPは来年4月でサポート切れになるから、これを機にLinuxの一種であるubuntuを導入してみたのさ。」

「13号機はWindows機の中でも中核を担っていたPCでしたね。」

「それをLinuxに変更するのだから、大事だよね。」

「で、結果はどうだったんだ?」

「以前と遜色ないサービスもあるけれど、全体的にはWindowsXP以下だったね。ハードウェアに絡んだものは利用できないものも少なくなかったし、全体的に見てもパフォーマンス的にWindowsXPに劣る印象が拭えない。」

「Linuxはダメってこと?」

「ダメってことはない。用途を限ったり、ディストリビューションを変更したり、細かくチューニングすれば変わってくるんだと思う。が−−−−−−、そこまでやっていられるかね。設定するのが目的ではなくて、設定した上でアプリを利用して仕事をするのが目的なんだからね。環境構築に時間がかかるものはすべからく不合格だよ。デスクトップ用途としてはね。」

「なかなか厳しいですね。」

「ubuntuは数あるLinuxディストリビューションの中でもデスクトップ用途に特化して、難しい設定等は必要ないくらい優れているけれど、それでもパフォーマンス的には今ひとつだった。ウィンドウマネジャーに利用しているgnomeの問題が大きいのだと思うが、私はX Window System自体を疑っている。あれは設計を大幅に変えないといけないんじゃないか?」

「でも、いまのMacOSXもUNIX系OSですよね?」

「NeXT直系のBSD系列のOSだね。FreeBSDと同系列のOSだ。MacOSXでのGUI環境は独自に開発したQuarzを使っていて、Xは、Quarz上で提供されているんだ。正直、Xは時代遅れのような気がするよ。」

「UNIXはやっぱりコマンド入力が基本ということなんでしょうね。」
※

「話題が思いっきり逸れてしまったので、話を戻しましょう。13台のうちで変化があったのは、先の13号機だけなのですか?」

「いや、それが5号機9号機も相次いでHDDクラッシュに見まわれ、システム総入れ替えの憂き目にあってね。さらにサーバの8号機や実験機の10号機−−−−−いずれも自作機なんだが、不調が顕著なんだ。さすがに処分を考えるようになったよ。」

「結局どうしたんだ?」

「5号機はWindowsを入れて動態保存状態で退役させることにした。役割も特にないしね。8号機は電源強化を検討中。9号機は−−−−−これはノートPCなんだが、タイプライター兼サウンドサーバとして復活作業中。FreeBSDで稼働させるつもりだ。10号機は気温が下がるとHDDを認識しなくなるという持病なので、春まで待つことになるだろうな。」

「実作業には影響ないのですか?」

「サーバ機である8号機が不調なのはマズイんだが、それ以外は第一線を退いているものばかりだから、大きな影響はない。あとはメイン作業マシンの13号機だけだね。こいつをWindowsXPに戻そうか迷っている。」

「サポート切れちゃいますよね。」

「そうなんだ。だけど利便性ではubuntuよりも遥かに上を行くから、捨てるのに忍びないよ。多分、使い分けていくことになるだろうね。」

「具体的にはどう使い分けるんですか?」

「通信など外部編接続は、基本的にubuntuになるだろうね。Windowsでの作業はローカルでのファイルの整理やROM焼き、WEB制作時の表示確認あたりになるだろうか。だが、ubuntuでは所有しているWEBカメラが使えなかったりしているので、できればWindowsでもネットに繋ぎたいのが本音なんだ。」

「でもリスクは高くなりますよね。」

「新しいPC買えばいいじゃん!」

「そう簡単に言うなよ(苦笑)。まあ、事務作業用のマシンは中古で安く手に入れられはするんだけど、別途OSを入手する必要があるわけだし、そのあたりを考えると中途半端なマシンを買うより、少し我慢して新しいMacを手に入れようかと……。」

「えっ? Windowsじゃないんですか?」

「いまはクラウド技術の発達で、OSの差が少なくなってきているからね。それにPC/ATではMacOSXは動かないけど、MacはWindowsでも使えるからね。ならばMacを買ったほうがいいだろうという結論だよ。最も予算ありきの話だがね。」

「結局そこに落ち着きますね。」

「それでも随分恵まれている方だと思うよ。だって、UNIX系OSを導入して延命させられるんだから。小さな自治体とか零細企業なんかはどうにも出来ずに途方にくれているところも多いからね。」

「PC廃人であることが幸いしたわけだ。」

「いや、それほどでもないさ〜って、誰が“PC廃人”だよ!」
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