「クリスマスカード 2013」メイキング(2)
毎日寒いですね。今週末は大寒波が日本列島を覆うそうで、受験生の皆さんはたいへんだと思います。っていうか、学期の始まりを9月にして、暖かい時期に受験させればいいのに……。伝統や情緒のために身体や生活に負担をかけるのはどうかと思いますね。
それはともかく、本日はクリスマス用イラストのメイキング記事の二回目です。

前回は、アイディア・ラフを描いて構想を練った後、実際に「下絵」なるものを、パーツごとに分割して描き上げ、スキャナでPCに取り込むところまでお話しました。
今回はその後の作業について言及------する前に、デジタルコンピュータにおける画像とはどういうものなのかということを、かいつまんでお話したいと思います。
で、ここで一言。普段皆さんは無意識的に「デジタル」、「アナログ」という言葉を使っていると思いますが、その本来の意味をご存知ですか?
「デジタル」というのは、「離散量(とびとびの値しかない量)」という意味で、情報工学的には、情報を「離散量」で表すことを意味します。
「アナログ」というのはこの反対で、「連続量」を指し、情報工学的には情報を「連続量」として表すことを意味します。
何言ってんだかわからないという人のために、わかりやすく時計で説明すると、起点からどれだけ針が動いたかで時間を表しているのがアナログ時計。これをパネルの数や、数値表示で表しているのがデジタル時計。
要するに、「量」として表したものが「アナログ」で、「点(量子)」として表したものが「デジタル」なんですね。
何でこんな話を持ち出したかというと、巷で言われる「アナログ」という言葉には、本来の定義とは離れて、「古臭い」「伝統的」「電化していない」ものと言う意味で使われていることが多いからなんですね。
実はこのことに、私は結構憤っていまして……。最初に誤用した奴はどこのバカだ!!
「アナログ」という言葉には「古い」といったマイナスなイメージは一切含んでいませんし、電気/非電気とも関係ありません。アナログコンピュータなるものも存在してますし、ソロバンのように電気とは無縁なデジタル計算器もあったりします。
PCコンテンツに長く携わった自分としては、アナログは繊細なイメージの方が強いですし、デジタルはその原理からして融通が利かなくて、どこか割り切りが必要な厄介者というイメージが強いですしね。
そういうことから、私は「非コンピュータ・グラフィックス」を「アナログ画像」とは、口が裂けても呼ばないことにしています。だって、モザイク画とか、点描法なんて、コンピュータは使っていないけれど、立派にデジタル絵画じゃないですか!
そんなわけで、「アナログ」という言葉についた、誤ったイメージを払拭すべく、上記のことを機会があれば、声高に主張しているのですね。
……と、話がすっかり脱線していまいましたので、元に戻しましょう。
で、そのコンピュータにおける画像の話でしたね。
現在、皆さんが使っているコンピュータは、デジタル式のコンピュータであるのですが、これは上記の通り、情報を「離散値」として扱う計算機なわけです。
数学的な話になるのですが、画像というものは、二次元の座標上の点の集合として表すことが出来ます。簡単に言うと、碁盤の目に敷き詰められた石を遠目で見たものが、PCにおける画像なんですね。
このBlogのプロフィール画像も、拡大すると、下図の様な四角の点の集まりとして構成されているわけです。

また数学上では、点は大きさ、線は太さをもちませんが、コンピュータの画像データとしては、ともに大きさ、太さを持つものとして扱われます。
ところで、コンピュータ画像で「斜め」の線を表すにはどうしたらいいんでしょうね?
じつは、これがコンピュータ画像のネックになる部分で、「斜め」とか緩やかなカーブをを描く「曲線」というのは、本来苦手としているものなのですよ。碁盤の目の間に輝点は表示できませんからね。
なので通常、曲線を表現する場合は、線と線の境界付近に中間色置いて、目の錯覚を利用してぼけたような効果を使って表現しています。

ちょっと見づらいとは思いますが、線の境界や曲線のへっこんだ部分に薄いグレーが表示されています。
私がゲーム業界でドット絵を描いていたときは、これを手作業でやっていたんですよ。でも全然うまく描けなくて、3ヶ月で別の部署に飛ばされました(恥)。いまは随分と楽になりましたが、それでもドット絵は苦手です。
それはともかく、PC上では、曲線はすべてこのような形で描かれています。
ただ、手書きの描線をPC取り込んで彩色するとなると、このようなグレースケール(白→黒を256色の階調で表現したもの)でスキャニングするのはあまり適当とは言えず、たいていの場合、白黒2階調の高解像度画像として取り込むのが一般的です。

2階調2400dpiでスキャニング
描き方にもよりますが、ご覧の通り、線はガタガタになります。
解像度が高いこともあって、実際に印刷したり、Web表示用に縮小かければあまり気になりませんが、それでもある程度の線の修正は必要になってきます。
これが結構面倒でね~。
自他共に認める面倒くさがり屋の私には、結構苦痛な作業でして、しかも頑張った割には成果は今一つということもあったりするんですよ。
そこで、最終的に行き着いたのが、ベジェ曲線で描くという方法。これはデータを碁盤の目の座標として持つのではなく、数式として記録し、描画の際はその都度演算して表示するというもの。描き方は結構手間ですが、その分綺麗な描線が引けることもあり、またその他にも色々とメリットを見出せたこともあり、現在ではベジェ曲線を使って絵を描いています。

ベジェ曲線で描いた図。描線が滑らかに表現されている。
次回は、このベジェ曲線について解説します。
それはともかく、本日はクリスマス用イラストのメイキング記事の二回目です。

前回は、アイディア・ラフを描いて構想を練った後、実際に「下絵」なるものを、パーツごとに分割して描き上げ、スキャナでPCに取り込むところまでお話しました。
今回はその後の作業について言及------する前に、デジタルコンピュータにおける画像とはどういうものなのかということを、かいつまんでお話したいと思います。
で、ここで一言。普段皆さんは無意識的に「デジタル」、「アナログ」という言葉を使っていると思いますが、その本来の意味をご存知ですか?
「デジタル」というのは、「離散量(とびとびの値しかない量)」という意味で、情報工学的には、情報を「離散量」で表すことを意味します。
「アナログ」というのはこの反対で、「連続量」を指し、情報工学的には情報を「連続量」として表すことを意味します。
何言ってんだかわからないという人のために、わかりやすく時計で説明すると、起点からどれだけ針が動いたかで時間を表しているのがアナログ時計。これをパネルの数や、数値表示で表しているのがデジタル時計。
要するに、「量」として表したものが「アナログ」で、「点(量子)」として表したものが「デジタル」なんですね。
何でこんな話を持ち出したかというと、巷で言われる「アナログ」という言葉には、本来の定義とは離れて、「古臭い」「伝統的」「電化していない」ものと言う意味で使われていることが多いからなんですね。
実はこのことに、私は結構憤っていまして……。最初に誤用した奴はどこのバカだ!!
「アナログ」という言葉には「古い」といったマイナスなイメージは一切含んでいませんし、電気/非電気とも関係ありません。アナログコンピュータなるものも存在してますし、ソロバンのように電気とは無縁なデジタル計算器もあったりします。
PCコンテンツに長く携わった自分としては、アナログは繊細なイメージの方が強いですし、デジタルはその原理からして融通が利かなくて、どこか割り切りが必要な厄介者というイメージが強いですしね。
そういうことから、私は「非コンピュータ・グラフィックス」を「アナログ画像」とは、口が裂けても呼ばないことにしています。だって、モザイク画とか、点描法なんて、コンピュータは使っていないけれど、立派にデジタル絵画じゃないですか!
そんなわけで、「アナログ」という言葉についた、誤ったイメージを払拭すべく、上記のことを機会があれば、声高に主張しているのですね。
……と、話がすっかり脱線していまいましたので、元に戻しましょう。
で、そのコンピュータにおける画像の話でしたね。
現在、皆さんが使っているコンピュータは、デジタル式のコンピュータであるのですが、これは上記の通り、情報を「離散値」として扱う計算機なわけです。
数学的な話になるのですが、画像というものは、二次元の座標上の点の集合として表すことが出来ます。簡単に言うと、碁盤の目に敷き詰められた石を遠目で見たものが、PCにおける画像なんですね。
このBlogのプロフィール画像も、拡大すると、下図の様な四角の点の集まりとして構成されているわけです。

また数学上では、点は大きさ、線は太さをもちませんが、コンピュータの画像データとしては、ともに大きさ、太さを持つものとして扱われます。
ところで、コンピュータ画像で「斜め」の線を表すにはどうしたらいいんでしょうね?
じつは、これがコンピュータ画像のネックになる部分で、「斜め」とか緩やかなカーブをを描く「曲線」というのは、本来苦手としているものなのですよ。碁盤の目の間に輝点は表示できませんからね。
なので通常、曲線を表現する場合は、線と線の境界付近に中間色置いて、目の錯覚を利用してぼけたような効果を使って表現しています。

ちょっと見づらいとは思いますが、線の境界や曲線のへっこんだ部分に薄いグレーが表示されています。
私がゲーム業界でドット絵を描いていたときは、これを手作業でやっていたんですよ。でも全然うまく描けなくて、3ヶ月で別の部署に飛ばされました(恥)。いまは随分と楽になりましたが、それでもドット絵は苦手です。
それはともかく、PC上では、曲線はすべてこのような形で描かれています。
ただ、手書きの描線をPC取り込んで彩色するとなると、このようなグレースケール(白→黒を256色の階調で表現したもの)でスキャニングするのはあまり適当とは言えず、たいていの場合、白黒2階調の高解像度画像として取り込むのが一般的です。

2階調2400dpiでスキャニング
描き方にもよりますが、ご覧の通り、線はガタガタになります。
解像度が高いこともあって、実際に印刷したり、Web表示用に縮小かければあまり気になりませんが、それでもある程度の線の修正は必要になってきます。
これが結構面倒でね~。
自他共に認める面倒くさがり屋の私には、結構苦痛な作業でして、しかも頑張った割には成果は今一つということもあったりするんですよ。
そこで、最終的に行き着いたのが、ベジェ曲線で描くという方法。これはデータを碁盤の目の座標として持つのではなく、数式として記録し、描画の際はその都度演算して表示するというもの。描き方は結構手間ですが、その分綺麗な描線が引けることもあり、またその他にも色々とメリットを見出せたこともあり、現在ではベジェ曲線を使って絵を描いています。

ベジェ曲線で描いた図。描線が滑らかに表現されている。
次回は、このベジェ曲線について解説します。
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