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十周年

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PENTAX X5を使ってみて(1)

本日は皆様のリクエストにお応えして(?)、一眼レフカメラルックのコンパクトデジタルカメラ:PENTAX X5を実際に使ってみて、感じたことをまとめてみたいと思います。


PENTAX X5(04)


このカメラを入手したのは3月末のことであり、それからすぐに実戦投入しているわけなんですが、フィギュア漫画「Final Labyrinth~涼宮ハルヒの迷宮(仮題)」の撮影時に感じたことを基に文章を書き起こし、またこの記事のためにあらためて撮影を行って、本記事を作成しています。

ただ、読み進める上で注意して欲しいことは、この“フィギュア漫画”のようなミニチュア撮影は、メーカーが本来意図していた用途とは少々異なる撮影シーンであるということです。

したがって、本記事で指摘している辛口な点についても、本来の用途から逸れるような使用方法であるが故、多少割り引いて読んでいただきたいと思います。

以上を踏まえたうえで、話を進めていきましょう。





ところで、今回はこんな感じのミニチュアセットを組んで、評価撮影してみました。

PENTAX X5作例(1-01)

以前ご紹介した「1/12 部室の机と椅子」で組んだシーンを再現し、少し手を加えてみました(笑)。


なお今回の撮影では、すべて感度:ISO100(相当)、ホワイトバランスを蛍光灯(昼白色)の設定にしています。また掲載の写真は、模式図を除いて、掲載のために縮小およびシャープネスを調整(アンシャープマスク61% 半径1pixcel しきい値8)した以外の加工は行っておりません。



まずは、測光モードおよびシャッター速度と絞り値の関係についてお伝えしていきましょう。


PENTAX X5(以下、本機)は、1)分割測光、2)中央重点測光、3)スポット測光、の三種類の測光モードが搭載されています。


それぞれの測光モードをかいつまんで説明すると、

1)は、画面を256分割した上でそれぞれの明るさを測り、その値を基に演算して露出を決めるモード

2)は、画面中央の測光値を重点を置きつつ、画面全体の明るさを均等に測光して露出を決定するモード

3)は、画面中央の測光値のみを基準にして露出を決めていくモード

となります。

この三種類の測光モードを駆使して撮影するということはあまりないと思いますが、明暗差のあるような被写体(例えば、暗い背景の中で人物だけを鮮明に映したいとき、など)を写す場合、測光方式を変えた方が、撮影意図をうまく表現できる場合があるのです。


PENTAX X5作例(1-02)
分割測光 1/15 F4.4

PENTAX X5作例(1-03)
中央重点測光 1/15 F4.4

PENTAX X5作例(1-04)
スポット測光 その1 1/8 F4.4

PENTAX X5作例(1-05)
スポット測光 その2 1/13 F4.4


今回の撮影ではあまり差が出ていませんが、画面中央部(机と机が合わさっている部分)を測光ポイントに置いて露出を決めています。


ところで、このカメラには露出をマニュアルで設定することも出来るのですが------正直言って使い勝手はよくありません。背面右上部のダイヤルを使ってその値を変更するのですが、絞り値はF11とF4.4の二択のみ。シャッタースピードのみある程度自由に選択できるというもので、“とりあえずマニュアルでも写せます”みたいな感が拭えません。まあこのカメラを手にするユーザーのほとんどは自動露出で撮影するでしょうから、目くじら立てる方が筋違いともいえるでしょうし、ほとんどのコンパクトカメラは、この“マニュアルモード”すら設定されていないから、むしろ用意してくれたことを喜ぶべきなのかもしれません。(とはいえ、実用的とはいえないことも確かだ)。

まあ、デジタル一眼レフを使っている人でも、マニュアル露出で撮影している人は少ないからねぇ……。


※本来的に言えば、ミニチュア撮影はマニュアル露出で撮ったほうがいいんですけどね。


次に話題にしたいのは、フォーカシングに関すること。要するにピント合わせについてです。

本機は通常のオートフォーカスモード(標準)、マクロモード、1cmマクロモード、無限遠、マニュアルフォーカス、エリア選択モード、と、5種類のフォーカスモードが設定されています。

“標準モード”と“無限遠”については説明するまでもないでしょう。

“マクロモード”は被写体から10~50cm以下の距離で使用するフォーカスモードで、フィギュア漫画やblogのフィギュア紹介記事用の撮影は、大抵このモードで間に合います。ズーム機能と併用も可能で、ミニチュア撮影の場合は“テレマクロ”といって、望遠側にズームしたうえでマクロ撮影をすることがほとんどなのですが、本機の場合は光学26倍ズームなので、望遠いっぱいにズームすると、かなりのアップで写しこむことが出来ます。正直言って、私の狭い部屋で簡易セットを使った撮影では、めいいっぱい望遠側にズームすることはほぼ稀です(苦笑)。

もう一つの“1cmマクロモード”というのは、10cm以下の-----最短距離1cmまで近づいて撮影する場合に使用するものです。


例えば、この写真

PENTAX X5作例(1-06)

普通のマクロモードではこんな感じにですが、


PENTAX X5作例(1-07)

1cmマクロを使うと、これくらいのアップも撮影可能です。



ところで、オートフォーカスの弱点として、被写体が中央ではなく両脇に立っていて、なおかつ背景が遠くにある場合、被写体にピントが合いづらいということがあります。現代のカメラはずいぶん改良されていて、このようなケースでもピントを合わせられるような工夫がなされているのですが、本機はどうでしょうか?


PENTAX X5作例(1-08)
本来、両脇の二人にピントを合わせたいのですが……。


PENTAX X5作例(1-09)
手前の小物にピントが合ってしまうこともあります。



実は本機には顔検出機能というものが付いていて、人物の顔を認識すると、そこにピントと露出が合うように自動的に調節してくれます。これはフィギュアの顔でも反応してくれるので(笑)、けっこう重宝する機能でもある……と書きたいところなのですが、実際に使ってみると、顔を認識しておきながら、ピントは別のところに合わせていたりすることもあり、(例えば、手前に置いた机に合うなど)、今ひとつ信用できないケースが少なからず見られました。もともとはポートレートや集合写真など人物撮影に利用するものなので、フィギュア撮影でこの機能がうまく働かないことについて、文句を言う筋合いはないのですが、一使用者の実感として、この機能をあまり過信しない方がいいと思いますね。


まあ、本来ミニチュア撮影では、きちんと距離を図った上でマニュアルフォーカスで撮影するべきものなのですが、多くのコンパクトカメラではマニュアルフォーカスで撮影することは不可能です。

しかし、このカメラには他のコンパクトカメラとは違い、ちゃんと“マニュアルフォーカスモード”が用意され、機械に頼らずにピントあわせが出来る-----と書きたいところなのですが、これもまた一言言わざるを得ない機能だったりもするのです。

というのも、このカメラのマニュアルフォーカスモードでピント合わせをすることは、ちっとも実用的ではないのです。フォーカシング自体、従来のカメラとは違ってレンズ筐体のチェッカリングを回すのではなく(本機は回らない)、背面の十字キーを押してピント合わせをするという仕様で、当然やりづらいし、フォーカシングそのものも背面モニタを見ながらで、CMOSから画像エンジンを通しての映像なので、普段のスルー映像とは違い、鮮明さに欠ける。一応被写体までの距離表示が出るのですが、この焦点距離、どこを基準にしたものなのか、皆目わかりません。まあ実測すればいいんですが、面倒なのでまだやってません(苦笑)。

ちなみにフィルムカメラの場合は、フィルム面の刻印がカメラ本体に付けられていて、レンズの焦点距離はすべてその面から測った距離に統一されている。これが有名無実化したデジタルカメラではどうなっているんでしょうね?


PENTAX X5作例(1-10)
フィルムカメラ(Canon AE-1)のフィルム面マーク。フィルムカメラの焦点距離はここを基準に焦点距離を定めています。デジタルカメラであるPENTAX X5には当然ありません。


というわけで、本機における“マニュアルモード”は正直、使う気にならない、実用的とは言いがたい機能になっています。実際、このモードを使っての撮影って、メーカーも推奨していないんじゃないかな。どうにも“とりあえず付けておきました”感が拭えないですね。


で、もう一つの“エリア選択モード”なのですが、実は本機は、画面中央から全体の1/3の大きさの範囲に測距ポイントを25箇所持っていて、通常はそこから自動的にフォーカシングポイントを決定してピントを合わせていくのですが、これを撮影者が任意に決めていくことができるという機能。


PENTAX X5作例(1-11)
エリア選択モードの模式図。この25分割されたフォーカスポイントを任意に選んでピントを合わせていく。


エリア選択モードの実例

PENTAX X5作例(1-12)
左上、長門さんにピントを合わせたもの


PENTAX X5作例(1-13)
中央、ニャル子にピントを合わせたもの


PENTAX X5作例(1-14)
右下、みくる姐さんの手前に置かれた少年ジャンプ誌(?)にピントを合わせたもの



あくまでもピント合わせをするのはカメラなのですが、その焦点をどこに置くかを撮影者が選べるわけで、前後に距離を置いたシーン等では重宝する機能である……が、これも過信は禁物で、フィギュア漫画の撮影時にこのモードを使用してもピントが合わないケースが少なからずありました。

もっともこれは対処可能で、撮影前にレリーズボタンを半押しして、ピントを確実に合わせてから、(合ったことを確認してから)撮影すれば大半は防げます。また本機にはオートマクロ機能というものがあって、被写体との距離が50cm以下になった場合、自動的にマクロ域までピントを合わせてくれる機能が付いている。これをONにしておけば、このモードを使っての失敗も防ぐことができます。

だったらON/OFFとかつけないで、常時ONとしておけばいいのにと思いますが、本機は光学ズーム以外に、ソフトウェア的処理をしてズームする機能も付いているので、その兼ね合いもあるらしい。

正直言うと、ソフトウェアで処理する“デジタルズーム”なんてものは、画像が劣化するだけなので、個人的には必要ないと思うのですけどね。(なので、私はデジタルズームをOFFに設定してます)。


ちなみに、ミニチュア撮影の場合、本体レリーズボタンを使用するのは避けたいところで、(どうしても、ブレが発生するので、シャッタースピードによっては影響が避けられないことがある)、リモコンが使用できる本機はとても重宝する……と書きたいのですが、これまた一癖あって、前にも書いたように、リモコンの赤外線受光部が前方にしかないから、ミニチュアを撮影するときはあまり役に立たなかったりする。

これを設計した人はどのような目的でリモコンを使えるようにしようと考えたのか、ちょっと呼びつけて説教したい気分に駆られる。ないよりはあったほうがいいのですが、リモコンを使った場合、レリーズボタンの半押しが使えない(使いづらい)ので、前述のAFエリア選択モードとは相性がよくないし、当然フォーカスロックとかも使えない。

例えば人形アニメを撮影する際は、カメラは完全に固定しなければならないわけですが、そういった用途にはとても使いづらく、この点は大きな不満点の一つとして指摘せざるを得ない。

レリーズボタンにネジを切って、ケーブルレリーズを取り付けられるようにしようかと誘惑に駆られるのですが、十中八九ネジ穴をなめてしまうし、(ボタンがプラスチック製なので)、そもそもちゃんとレリーズできるかも怪しいのでやらない(爆)。だが、やりたくなってしまうくらい、リモコンには不満が残る。期待が大きかっただけにね。


……ということで、実際にミニチュアを撮影してみると、結構細かな不満点が出てきました。

それでも以前使っていたSONY DSC-P72に比べれば随分と撮影は楽になりましたし、仕上がりも鮮明になっているから、満足度が低いというわけでもありません。そもそもフィギュアに芝居をさせて、それを撮影するということ自体、本機をはじめとしたコンパクトカメラの使用用途としては意図されていないわけで、それを一応こなしている辺りは、本機のポテンシャルの高さゆえでしょう。これ以上の撮影環境を望むならば、やはりきちんとしたデジタル一眼レフカメラ-----しかも入門機ではない、プロ用もしくはそれに匹敵するようなカメラを手に入れるべきでしょう。要はちゃんとしたマニュアル撮影機能を有したカメラということであり、実はそのような機能を有しているカメラは、残念ながら現代では高級機しか見当たらないのです。

もちろん、カメラ本体だけではなく、レンズやら、ライトやら、画像処理をするコンピュータやら、その他諸々の環境/付属品も必要になるんだけどね。



というわけで、本機も他のコンパクトデジタルカメラ同様、決してミニチュア撮影に向いているわけではありません。ただ、そのポテンシャルの高さゆえ、創意工夫によってある程度カバーできるカメラだとは感じているし、そう思ったからこそ手に入れたという側面があります。とはいえ、同じ目的でカメラ選びをしている人に対して本機を薦めるかというと、予算を増やして高級機----マニュアル撮影が出来るカメラを買ったほうがいいと思いますね。


さて、気になる本機の電池の持ち具合ですが、単三型アルカリ乾電池4本で約200枚前後(公称値約250枚)と、“まあ、こんなものだろう”という感じ。ミニチュア撮影の場合、撮ってる時間より待機させている時間(=セッティングしている時間)の方が長くなる傾向がありますから、通常の撮影であればもっと枚数が稼げるでしょう。逆に言えば、待機時間が長くなりがちなミニチュア撮影ではACアダプタを使用するべきでしょう。私も早速手に入れました。

ただこのACアダプタも一言あって……。じつはこれ、HOYA時代に発売されたものをリパッケージしたもので、中身はHOYA時代のまま。最初間違えて買ったのかと思いましたよ。説明書の型番と合わないんだもの。PENTAXは、現在はリコーの一ブランドなので、型番が変わるのは当然としても、外箱にステッカーを貼っただけというのもね……。

まあ、定格電圧/電流の値が同じであれば問題はないと頭ではわかっているんですが……。



以上、ミニチュア撮影におけるPENTAX X5の個人的評価でした。

今回のテストは、あくまでも“ミニチュア撮影”での評価であり、一般的な撮影条件とは異なることを留意してください。ごく普通の使用用途における本機の評価はまた後日行う予定です。お楽しみに!


おまけ

PENTAX X5作例(1-15)
両さん「ここで、いかがわしい同人誌が販売されていると聞いたんだが……、君たち、何か知ってるかね?」


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お絵描きや1/12フィギュアを
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