タイマニックの世界(3)~Story of Timanic
1970年代後半に展開された、オリジナル・ハードSF玩具シリーズ「スペーストラベラー・タイマニック」。今回は、その物語のアウトラインに迫っていきましょう!

※以下は、当時のパンフレットに記載された文章をそのままテキスト化したものです。
紀元2004年…地球
地球上にふんだんにある水資源をエネルギーに変化させようとする研究を続けている日本の科学者がいた。原子力にかわる無公害エネルギーとして、その実用化に大きな期待がよせられていたのである。竜ヶ崎博士はこの水エネルギー転化の研究中に、地球全体の水量がなんらかの原因で、増減していることを発見した。しかも水の増減と同時に地上では津波や地震などの自然災害が発生していることも明らかになったのである。これを調査するために、竜ヶ崎博士を中心にプロジェクトが組まれ、その研究所は《ダムバスター》と名づけられた。

ダムバスター研究所
ふだんは、日本の石廊崎(静岡県)の海岸に建っているが、地殻の変動や、水量に変化があった時に、そのまま大気圏外へ飛び出し、地球全体を球体として見ることのできる宇宙空間へ静止して観測ができるシステムとなっている。基地型宇宙船ともいえる、画期的なメカニズムをもつ研究所である。

こうして観測を続けるうちに、以外な事実(※注1)が判明したのである。地球上に何らかの変化が起こっている時に、必ず光の束のようなものが地球につきささり、その光の束を中心に、大量の水が移動していたのである。ダムバスターの超空間レーダーはその光が、宇宙座標X042-R499(520光年の距離)から出ている事をキャッチした。この原因不明の光を調査するために、超空間ワープ機能をもつ、タイムオーバーマシン(タイムマシーン)が開発された。しかし、人間の身体ではワープ(瞬時空間移動)や超光速移動に耐えることができない。そこで人間の代理をする、ネオサイボーグが造られたのである。それが《タイマニック》である。人間の頭脳を転移する(ブレーンコンバート)ことにより、人間の分身として、超空間で行動することができるのだ。

こうして、タイマニックはタイムマシーンとともに未知の空間に向かってワープをしたのである。そして驚ろくべき情報をキャッチしたのである。

原因不明の光は、地球より520光年の彼方にある、ワープス星より発射されていたのである、その公転速度…光速の100倍、地球の科学では信じられない事だ。ワープス星は天体の内側が空洞になっており、ちょうどタマゴのカラの内側が地球でいう地面で、空洞内の中心部には、ワープソル(大陽(※注2))が輝いていた。

地球は20数億年前から、彼らのエネルギーである、水の貯水星(貯水池)であったという。しかし他の惑星から水を運ぶ時にいろいろなものがまじっていたらしく、ここ何億年かの間に植物がはびこり、つい最近には、ワープス星人のような人類が発生してしまった。つまり、地球上の動植物や人類は、すべてワープス星人が水を運んだ時に地球へまぎれこんだということなのだ。

ワープス星人のエネルギー源である水も銀河系では少なくなり、同時に星自体も地下資源の乱開発のために、地殻が異常な薄さになってしまった。ワープス星はもはや崩壊寸前であった。そこで地球人を全滅させ、地球に全員移住をする計画が立てられたのである。

ワープス星はワープス光線によって水の移動や、メカ(UFO)をワープすることができる高度科学の星だ。銀河系を大きなだ円のらせん軌道をえがいて飛んでいる。地球上空を通過するまでにあと600日。ワープス星人はその時、ワープ光線の出力が最大になるため、全員を地球に移住させるべく計画を進めている。我々の地球の危機を救えるのはタイマニックだけである…。

まけるなタイマニック!!
※注1:本来は“意外な事実”と記述するべきところですが、パンフレットでは“以外な事実”と記載されており、原文のまま訂正しませんでした。
※注2:“太陽”なのだとは思いますが、ここも原文のまま訂正しませんでした。
また、一部句読点が略されている箇所があり、それは補いましたが、誤植/校正ミスと思われる部分ついては訂正せず、原文のまま記載しています。
いかがでしたでしょうか? いろいろ突っ込みどころももありますが、子供向けとするには惜しいほどほど大人びた設定で、小学校高学年以上を対象としていたんじゃないかと思うような内容ではなかったかと思います。SF好きだった私には好印象でしたが、当時これを理解できた子供達がどの位いたかというと、ちょっと自信がもてません。
それ以上に気に掛かったことは、タイマニックとワープス星人との戦いのイメージが掴みづらいことでした。ワープス星人がどのような敵で、どのようにして人類に脅威を与えてようとしているか明示されてなく、その具体像を描くことは、いま読み返して尚、難しいと感じましたね。
また当時はSFブームだったのですが、このとき人気のあった作品は「宇宙戦艦ヤマト(二作目)」や「スターウォーズ(EP4)」、「銀河鉄道999」といった、等身大の普通の人間が奮闘するというもの。その他は巨大ロボットがプロレスのごとく敵と格闘するものありましたが、いずれもタイマニックのようなヒロイックなストーリーとは趣の異なるものでした。
もっともここに提示されたストーリーに沿う必要はなく、実際私を含め当時の子供達は、めいめいのオリジナルの設定をこしらえて玩具遊びをしていたわけなんですが、それでもタイマニックだけは扱いづらい印象がありました。
それはこれより先んじて発売/展開されていた、同じタカラのミクロマンに遊びの幅という点でアドバンテージを許していたからでしょう。手ごろなサイズと値段、数多くの乗り物や基地、そして共通ジョイントによってもたらされる組み換えの無限の可能性と創造性-----残念ながら、タイマニックにはそれが欠けていたと言わざるをえません。
先日紹介したタイムマシーンですら、タイマニックがなければ満足に遊ぶことすら適わないという商品で、あれは誕生日プレゼントだったのですが、後に旧友からタイマニックを譲り受けるまで扱いに困っていた代物でした。

コンセプト的には実にユニークで、エネルギー問題が背景にあるところは現代にも通じるところがありますし、ブレーンコンバートによるアバター操作は時代に先駆けていた気がします。(ブレーンコンバートは、頭脳を物理的に移植するのではなく、意識を転移するというのがイメージに沿うでしょう)。また一時期流行を見せた地球空洞説を敵の設定に加える辺りも結構マニアックです。
正直言って、「スペーストラベラー・タイマニック」はもったいない作品だったと思います。いろいろと野心的なつくり込みをしながら、それそれの要素がうまく噛み合わず、支持を得られなかった------そんな印象が強く残ります。
そういう意味では、この設定を生かしつつ、時代にあった新しいタイマニックが有志の手によって創り出されると嬉しいですね。

どうですか? 皆さん?(笑)

まどか「だったら、ワレがやってみたらどうなんじゃ?」

「やっていいの? グヘ、グヘヘヘヘ!」

まどか(な、なんじゃ、この含み笑いは……!?)
「タイマニックの世界」はまだまだ続きます。お楽しみに!

※以下は、当時のパンフレットに記載された文章をそのままテキスト化したものです。
紀元2004年…地球
地球上にふんだんにある水資源をエネルギーに変化させようとする研究を続けている日本の科学者がいた。原子力にかわる無公害エネルギーとして、その実用化に大きな期待がよせられていたのである。竜ヶ崎博士はこの水エネルギー転化の研究中に、地球全体の水量がなんらかの原因で、増減していることを発見した。しかも水の増減と同時に地上では津波や地震などの自然災害が発生していることも明らかになったのである。これを調査するために、竜ヶ崎博士を中心にプロジェクトが組まれ、その研究所は《ダムバスター》と名づけられた。

ダムバスター研究所
ふだんは、日本の石廊崎(静岡県)の海岸に建っているが、地殻の変動や、水量に変化があった時に、そのまま大気圏外へ飛び出し、地球全体を球体として見ることのできる宇宙空間へ静止して観測ができるシステムとなっている。基地型宇宙船ともいえる、画期的なメカニズムをもつ研究所である。

こうして観測を続けるうちに、以外な事実(※注1)が判明したのである。地球上に何らかの変化が起こっている時に、必ず光の束のようなものが地球につきささり、その光の束を中心に、大量の水が移動していたのである。ダムバスターの超空間レーダーはその光が、宇宙座標X042-R499(520光年の距離)から出ている事をキャッチした。この原因不明の光を調査するために、超空間ワープ機能をもつ、タイムオーバーマシン(タイムマシーン)が開発された。しかし、人間の身体ではワープ(瞬時空間移動)や超光速移動に耐えることができない。そこで人間の代理をする、ネオサイボーグが造られたのである。それが《タイマニック》である。人間の頭脳を転移する(ブレーンコンバート)ことにより、人間の分身として、超空間で行動することができるのだ。

こうして、タイマニックはタイムマシーンとともに未知の空間に向かってワープをしたのである。そして驚ろくべき情報をキャッチしたのである。

原因不明の光は、地球より520光年の彼方にある、ワープス星より発射されていたのである、その公転速度…光速の100倍、地球の科学では信じられない事だ。ワープス星は天体の内側が空洞になっており、ちょうどタマゴのカラの内側が地球でいう地面で、空洞内の中心部には、ワープソル(大陽(※注2))が輝いていた。

地球は20数億年前から、彼らのエネルギーである、水の貯水星(貯水池)であったという。しかし他の惑星から水を運ぶ時にいろいろなものがまじっていたらしく、ここ何億年かの間に植物がはびこり、つい最近には、ワープス星人のような人類が発生してしまった。つまり、地球上の動植物や人類は、すべてワープス星人が水を運んだ時に地球へまぎれこんだということなのだ。

ワープス星人のエネルギー源である水も銀河系では少なくなり、同時に星自体も地下資源の乱開発のために、地殻が異常な薄さになってしまった。ワープス星はもはや崩壊寸前であった。そこで地球人を全滅させ、地球に全員移住をする計画が立てられたのである。

ワープス星はワープス光線によって水の移動や、メカ(UFO)をワープすることができる高度科学の星だ。銀河系を大きなだ円のらせん軌道をえがいて飛んでいる。地球上空を通過するまでにあと600日。ワープス星人はその時、ワープ光線の出力が最大になるため、全員を地球に移住させるべく計画を進めている。我々の地球の危機を救えるのはタイマニックだけである…。

まけるなタイマニック!!
※注1:本来は“意外な事実”と記述するべきところですが、パンフレットでは“以外な事実”と記載されており、原文のまま訂正しませんでした。
※注2:“太陽”なのだとは思いますが、ここも原文のまま訂正しませんでした。
また、一部句読点が略されている箇所があり、それは補いましたが、誤植/校正ミスと思われる部分ついては訂正せず、原文のまま記載しています。
いかがでしたでしょうか? いろいろ突っ込みどころももありますが、子供向けとするには惜しいほどほど大人びた設定で、小学校高学年以上を対象としていたんじゃないかと思うような内容ではなかったかと思います。SF好きだった私には好印象でしたが、当時これを理解できた子供達がどの位いたかというと、ちょっと自信がもてません。
それ以上に気に掛かったことは、タイマニックとワープス星人との戦いのイメージが掴みづらいことでした。ワープス星人がどのような敵で、どのようにして人類に脅威を与えてようとしているか明示されてなく、その具体像を描くことは、いま読み返して尚、難しいと感じましたね。
また当時はSFブームだったのですが、このとき人気のあった作品は「宇宙戦艦ヤマト(二作目)」や「スターウォーズ(EP4)」、「銀河鉄道999」といった、等身大の普通の人間が奮闘するというもの。その他は巨大ロボットがプロレスのごとく敵と格闘するものありましたが、いずれもタイマニックのようなヒロイックなストーリーとは趣の異なるものでした。
もっともここに提示されたストーリーに沿う必要はなく、実際私を含め当時の子供達は、めいめいのオリジナルの設定をこしらえて玩具遊びをしていたわけなんですが、それでもタイマニックだけは扱いづらい印象がありました。
それはこれより先んじて発売/展開されていた、同じタカラのミクロマンに遊びの幅という点でアドバンテージを許していたからでしょう。手ごろなサイズと値段、数多くの乗り物や基地、そして共通ジョイントによってもたらされる組み換えの無限の可能性と創造性-----残念ながら、タイマニックにはそれが欠けていたと言わざるをえません。
先日紹介したタイムマシーンですら、タイマニックがなければ満足に遊ぶことすら適わないという商品で、あれは誕生日プレゼントだったのですが、後に旧友からタイマニックを譲り受けるまで扱いに困っていた代物でした。

コンセプト的には実にユニークで、エネルギー問題が背景にあるところは現代にも通じるところがありますし、ブレーンコンバートによるアバター操作は時代に先駆けていた気がします。(ブレーンコンバートは、頭脳を物理的に移植するのではなく、意識を転移するというのがイメージに沿うでしょう)。また一時期流行を見せた地球空洞説を敵の設定に加える辺りも結構マニアックです。
正直言って、「スペーストラベラー・タイマニック」はもったいない作品だったと思います。いろいろと野心的なつくり込みをしながら、それそれの要素がうまく噛み合わず、支持を得られなかった------そんな印象が強く残ります。
そういう意味では、この設定を生かしつつ、時代にあった新しいタイマニックが有志の手によって創り出されると嬉しいですね。

どうですか? 皆さん?(笑)

まどか「だったら、ワレがやってみたらどうなんじゃ?」

「やっていいの? グヘ、グヘヘヘヘ!」

まどか(な、なんじゃ、この含み笑いは……!?)
「タイマニックの世界」はまだまだ続きます。お楽しみに!
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