STANSPORT Fold-up Backpackers Stove
先日紹介したメスティンの記事で“ポケットストーブ”なる言葉が出てきましたので、今回はこちらを紹介しましょう。

STANSPORT Fold-up Backpackers Stove
私が“ポケットストーブ”という存在を知ったのは、遥か昔。確か「サバイバル・マガジン」という季刊で発行されていた、ムックに限りなく近い雑誌じゃなかったかな……?
何冊か買ってたんですが、あいにく家人に勝手に処分されて、今は一冊だけが残るのみ。貴重な資料だったのにぃ~!!(怒)
さて、いまの若い人にはおとぎ話もしくはギャグに感じるかもしれないのですが、1950年前後から始まる冷戦期は常に核戦争への恐怖が付きまとっていました。
“世界は核の炎に包まれた”ストーリーは何も「北斗の拳」や、それの参考になった「MAD MAX2」だけでなく、古くから少なくない数の作品がメディアを問わず描かれていたんですね。
さらにこれに拍車をかけるように“ノストラダムスの大予言”が流布し、レーガン政権のSDI(スターウォーズ計画)も相まって、20世紀末に人類は滅亡するのでは? という不安が渦巻いていたのです。
実際、80年代前半のヒット・ポップの中には冷戦や米ソ対立を皮肉ったり、それに翻弄される人類の愚かさを暗喩するような曲が少なからず発表されていました。
それとは別に70年代から続くテロ犯罪が激しくなってきたのもこの時代。“サバイバル”という言葉が現実味をもって受け止められていた時代でもありました------。
もっとも我が国では、仮想敵国がすぐそばにありながらも、なぜかのんびりとした空気が流れていたのも事実。災害や戦争への“備え”をする人を蔑む風潮が少なからずあったことも事実です。
(この流れが変わるのは1995年の阪神・淡路大震災だったでしょうか……)。
まあ、そんな世相の中で発行されていたのが前述の「サバイバル・マガジン」だったのですね。もっともこの雑誌が発売された80年代後半はソビエト連邦の偉大なる指導者:ミハイル・ゴルバチョフの奮闘により、米ソ対立は解消への方向に変わり、やがて東欧諸国は民主化され、冷戦が終結していくのですけどね。
話がずいぶん逸れたな(笑)。
そんな時代に“防災用品”として知ったのが西ドイツ(当時)のエスビット社が発売していたポケットストーブ。折り畳みのゴトクを持つ小さな固形燃料ストーブは、安価で携帯性に優れ、貧乏人の防災用品にはぴったりのアイテムでした。
ただ、この当時、田舎には売ってなかったんですよね。時代が早かった…………。
なので、手に入れたのは上京後。東京の銀座にある松坂屋で買ったのがこれ-------って、エスビット製じゃない!
と気が付いたのがほんの数年前だったという(大恥)。
ですがモノ自体は大きく変わらない。調べてみれば同形状のものが英軍でも利用され、さらに近年ではどう見てもエスビット製の模倣品と思われる中華製品も多数散見される状況。
まあ、構造的には天蓋が開く金属の箱だし、使うのも固形燃料だからね……。
そんなわけで、エスビット製だと長年思ったら、記載しているサイズと違ってて、ようく見たらアメリカのSTANSPORTという会社が台湾の工場で作ったポケットストーブだったという、STANSPORT Fold-up Backpackers Stove、見ていきましょう!
パッケージ

当時の値段で\1,000でした。


背面には、このストーブのセールスコピーが並んでます。
STANSPORT社はアメリカ・カリフォルニア州にあるアウトドア製品を販売する会社で、現在も事業を継続しています。日本にはここの代理店はないみたいですね。またこの商品は既に廃版となっているようです。
本体

ゴトクとなる三本のツメが、互い違いに合わせられていることが判ります


天蓋を起こすように広げて使用します。角度は二段階。まずは小さなものを温める角度で

大きなものを温める際はこの角度で。ストーブ的にはこの角度の方が安定しています。
底部

基材部が皿のようになっていて、ここに固形燃料を乗せます。底部のスリットは空気穴です。

シェラカップ(キャプテンスタッグ製)を載せて。
茶碗くらいの大きさの、ステンレス製のシェラカップなんですが、それでもこの角度でないと落ちてしまいます。
随分使い込んでいるように見えますが、これは以前、フレンチトーストに掛けるシロップをつくろうと、砂糖水を煮詰めた際にこびりついた焦げです(恥)。

こちらはチタン製の250mlシェラカップ(スノーピーク製)。
こいつには上京したばかりの頃、世話になったなぁ……(遠い目)

先日紹介のメスティンを載せるとこんな感じ。短辺96mm×長辺118mm×高さ30mmですので、エスビット製のものよりも大きく、メスティンには入りません。

付属の固形燃料は大きめで、エスビット製品の“ラージ”サイズのものとほぼ同じではないでしょうか。固形燃料なんて大抵OEMでしょうから。

見づらいですが固形燃料。ジッパー付きポリ袋に入れれば、長期間保存可能です。

米軍のLC-1 20連マガジンポーチ(のレプリカ)にスッポリ収納できます。このポケットストーブを収納するためにつくられたと思うくらい。
いや、これはファーストエイド用品の収納用に手に入れたんですがね(笑)。

といいますか、紙箱に入れて、さらに固形燃料も一緒に収納することができます。
※固形燃料は、付属したものすべてポケットストーブ内に収納できますが、長期保存のためジッパー付きポリ袋に入れて保管しているため、ここでは別梱包となっています。
…………と、ここまで見てきたポケットストーブですが、防災用としての実際は“ロマン枠”に近く、あまり実用的ではないかなと思います。
といいますか、使うのが固形燃料ですから簡単な煮炊きしかできない------湯沸かしが精いっぱいでしょう。一度火をつければ燃え尽きるまで待たないといけませんし、利便性もいいとは言えません。収納の余裕があるのであれば、ガスを使ったシングルバーナーを用意する方が現実的だと思います。OD缶を使うアウトドア用はもちろん、いまはCB缶を使うものでもコンパクトな製品が出ていますので、これにこだわる必要はないと思います。
ですが着の身着のまま避難しなければいけないときに、こいつをポケットの偲ばせる------という状況ならば、ポケットストーブは有用となりますし、むしろこの製品の存在意義はそこにこそあるといえましょう。
防災のための備えは、各人の置かれた状況により様々で、ただ一つの正解というものがありません。ポケットストーブは防災用品としては万能ではありませんが、限られたシチュエーションでは活きてくるユニークな製品です。
利用を検討されている方は、どのような状況下でこれを使うか、それを考慮した上で購入するのがいいと思います。

STANSPORT Fold-up Backpackers Stove
私が“ポケットストーブ”という存在を知ったのは、遥か昔。確か「サバイバル・マガジン」という季刊で発行されていた、ムックに限りなく近い雑誌じゃなかったかな……?
何冊か買ってたんですが、あいにく家人に勝手に処分されて、今は一冊だけが残るのみ。貴重な資料だったのにぃ~!!(怒)
さて、いまの若い人にはおとぎ話もしくはギャグに感じるかもしれないのですが、1950年前後から始まる冷戦期は常に核戦争への恐怖が付きまとっていました。
“世界は核の炎に包まれた”ストーリーは何も「北斗の拳」や、それの参考になった「MAD MAX2」だけでなく、古くから少なくない数の作品がメディアを問わず描かれていたんですね。
さらにこれに拍車をかけるように“ノストラダムスの大予言”が流布し、レーガン政権のSDI(スターウォーズ計画)も相まって、20世紀末に人類は滅亡するのでは? という不安が渦巻いていたのです。
実際、80年代前半のヒット・ポップの中には冷戦や米ソ対立を皮肉ったり、それに翻弄される人類の愚かさを暗喩するような曲が少なからず発表されていました。
それとは別に70年代から続くテロ犯罪が激しくなってきたのもこの時代。“サバイバル”という言葉が現実味をもって受け止められていた時代でもありました------。
もっとも我が国では、仮想敵国がすぐそばにありながらも、なぜかのんびりとした空気が流れていたのも事実。災害や戦争への“備え”をする人を蔑む風潮が少なからずあったことも事実です。
(この流れが変わるのは1995年の阪神・淡路大震災だったでしょうか……)。
まあ、そんな世相の中で発行されていたのが前述の「サバイバル・マガジン」だったのですね。もっともこの雑誌が発売された80年代後半はソビエト連邦の偉大なる指導者:ミハイル・ゴルバチョフの奮闘により、米ソ対立は解消への方向に変わり、やがて東欧諸国は民主化され、冷戦が終結していくのですけどね。
話がずいぶん逸れたな(笑)。
そんな時代に“防災用品”として知ったのが西ドイツ(当時)のエスビット社が発売していたポケットストーブ。折り畳みのゴトクを持つ小さな固形燃料ストーブは、安価で携帯性に優れ、貧乏人の防災用品にはぴったりのアイテムでした。
ただ、この当時、田舎には売ってなかったんですよね。時代が早かった…………。
なので、手に入れたのは上京後。東京の銀座にある松坂屋で買ったのがこれ-------って、エスビット製じゃない!
と気が付いたのがほんの数年前だったという(大恥)。
ですがモノ自体は大きく変わらない。調べてみれば同形状のものが英軍でも利用され、さらに近年ではどう見てもエスビット製の模倣品と思われる中華製品も多数散見される状況。
まあ、構造的には天蓋が開く金属の箱だし、使うのも固形燃料だからね……。
そんなわけで、エスビット製だと長年思ったら、記載しているサイズと違ってて、ようく見たらアメリカのSTANSPORTという会社が台湾の工場で作ったポケットストーブだったという、STANSPORT Fold-up Backpackers Stove、見ていきましょう!
パッケージ

当時の値段で\1,000でした。


背面には、このストーブのセールスコピーが並んでます。
STANSPORT社はアメリカ・カリフォルニア州にあるアウトドア製品を販売する会社で、現在も事業を継続しています。日本にはここの代理店はないみたいですね。またこの商品は既に廃版となっているようです。
本体

ゴトクとなる三本のツメが、互い違いに合わせられていることが判ります


天蓋を起こすように広げて使用します。角度は二段階。まずは小さなものを温める角度で

大きなものを温める際はこの角度で。ストーブ的にはこの角度の方が安定しています。
底部

基材部が皿のようになっていて、ここに固形燃料を乗せます。底部のスリットは空気穴です。

シェラカップ(キャプテンスタッグ製)を載せて。
茶碗くらいの大きさの、ステンレス製のシェラカップなんですが、それでもこの角度でないと落ちてしまいます。
随分使い込んでいるように見えますが、これは以前、フレンチトーストに掛けるシロップをつくろうと、砂糖水を煮詰めた際にこびりついた焦げです(恥)。

こちらはチタン製の250mlシェラカップ(スノーピーク製)。
こいつには上京したばかりの頃、世話になったなぁ……(遠い目)

先日紹介のメスティンを載せるとこんな感じ。短辺96mm×長辺118mm×高さ30mmですので、エスビット製のものよりも大きく、メスティンには入りません。

付属の固形燃料は大きめで、エスビット製品の“ラージ”サイズのものとほぼ同じではないでしょうか。固形燃料なんて大抵OEMでしょうから。

見づらいですが固形燃料。ジッパー付きポリ袋に入れれば、長期間保存可能です。

米軍のLC-1 20連マガジンポーチ(のレプリカ)にスッポリ収納できます。このポケットストーブを収納するためにつくられたと思うくらい。
いや、これはファーストエイド用品の収納用に手に入れたんですがね(笑)。

といいますか、紙箱に入れて、さらに固形燃料も一緒に収納することができます。
※固形燃料は、付属したものすべてポケットストーブ内に収納できますが、長期保存のためジッパー付きポリ袋に入れて保管しているため、ここでは別梱包となっています。
…………と、ここまで見てきたポケットストーブですが、防災用としての実際は“ロマン枠”に近く、あまり実用的ではないかなと思います。
といいますか、使うのが固形燃料ですから簡単な煮炊きしかできない------湯沸かしが精いっぱいでしょう。一度火をつければ燃え尽きるまで待たないといけませんし、利便性もいいとは言えません。収納の余裕があるのであれば、ガスを使ったシングルバーナーを用意する方が現実的だと思います。OD缶を使うアウトドア用はもちろん、いまはCB缶を使うものでもコンパクトな製品が出ていますので、これにこだわる必要はないと思います。
ですが着の身着のまま避難しなければいけないときに、こいつをポケットの偲ばせる------という状況ならば、ポケットストーブは有用となりますし、むしろこの製品の存在意義はそこにこそあるといえましょう。
防災のための備えは、各人の置かれた状況により様々で、ただ一つの正解というものがありません。ポケットストーブは防災用品としては万能ではありませんが、限られたシチュエーションでは活きてくるユニークな製品です。
利用を検討されている方は、どのような状況下でこれを使うか、それを考慮した上で購入するのがいいと思います。
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